
長年の歴史に終止符を打つ企業に、より良いフィナーレを。
「全然相手にされない。こんなにも俺は無力なのか……」。入社後すぐ戦略開発部に配属された関は、自信を失っていた。戦略開発部は、銀行紹介の顧客をメインとする営業部と違い、取引先を自らの手でイチから開拓しなければならない。しかし、1000件中3件しか取引が成り立たないと言われるのが不動産取引。1年目で知識も経験も少ない関は、行動量で補うしかなかった。効率は非常に悪い。だが、関は諦めずに足を棒にして駆けまわり続けた。そして、地道に努力を継続することで少しずつではあるが、取引先を獲得していった。その切り拓いた顧客たちは、のちのキャリアにおいて彼を救う資産となる──。
月日が流れ、入社6年目、営業部へ異動していた関は会社精算に伴う不動産売却プロジェクトを担当することになった。お客様は80年以上にわたって製油業を営んできた歴史ある企業。一族経営で代々バトンをつないできたが、後継ぎがいないことから事業をたたむことになったのだ。「社長はきっと、あらゆる想い・感情に折り合いをつけて決断をしたんだ。応えなければ」。初回ヒアリングで社長と向き合いながら、関はそう思った。