
土地予算だけで十数億円となる、上場企業のホテル開発案件。
「売り手側の希望が坪1000万円に対して、買い手側の希望が600万円……どう調整していこうか」。売り手と買い手の希望額の大きな隔たりに、児玉は頭を悩ませていた──。
入社3年目の不動産仲介営業である児玉は、大手デベロッパーの大型案件を担当することになった。買い手のお客様は、主にマンション開発事業を手掛ける大手デベロッパー。上場企業であり、業界でも有名な企業だ。このお客様が近年、新しくホテル事業をスタートさせ、児玉はその大阪第1号案件となるホテルの用地紹介を依頼されたのだった。
土地の予算だけで、十数億円となるプロジェクト。これほどの規模の案件を児玉は担当したことがなく、東洋不動産の社内においても珍しい。「お客様においても、自社においても、業界に広く認知されるシンボリックな案件だ。絶対に成功させてやる」。自らのキャリアにとっても大きな自信・実績になる案件を前に、児玉のモチベーションは高まっていた。